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日記です。 戻るときはプロフィール欄の『デーツ』から。
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 土方はぱちりと目を覚ました。のそりを起き上がると、夜の温度が素肌に突き刺さる。掛け時計を見上げると、まだ早朝と言うにも早い時間だった。
 次に隣を見てみれば、総悟が布団からを出して寝ていた。
 
「へぶしっ」
 
 くしゃみをしてから、顔を顰めている。起こさないようにそっと触れてみると、鼻も肩もすっかり冷え切っていた。
 
「馬鹿でも、風邪ひくぞ」
 
 布団をかけ直してやるが、それでもまだ寒そうに見える。土方は総悟の側にぴたりと寄り添い、総悟を自分の体に抱き寄せた。冷えた総悟の顔が、土方の体温を奪いぞわりと悪寒が走る。それでも土方はぽふぽふと総悟の髪を撫でていた。
 
「んー……」
 
 腕の中の総悟がもぞもぞと動いた。起こしてしまったかと、撫でるのを止める。
 
「……ひにかたひゃん」
 
 総悟は顔を土方の胸に擦りつけ、再び動かなくなった。寝ぼけていただけらしい。土方は安心してまた撫で始めた。
 にしても、寝言で自分の名前を呼ばれると何ともこそばゆい。自分が触っていることを寝ながらでもわかったのか、それとも夢に見ているのだろうか。土方の目尻が下がる。
 
「……総悟」
 
 試しに、総悟の耳元で呼び返してみた。
 途端に、総悟の顔がにへらぁっと綻んだ。ように見えた。いやこれは絶対笑っている絶対自分の声に反応して総悟は微笑んでいる。と、土方は興奮した。
 
「そーご」
 
 総悟の体を抱きしめながら、土方はもう一度呟く。総悟がくすぐったそうに身を捩ると、総悟の柔らかい髪の毛が土方の胸をくすぐる。土方は自分の中に悪戯心が芽生えていくのを感じていた。
 唇をそのまま近付け、耳朶を食む。ちろりと舐めてみると、総悟の口から「ふぁっ」と声が漏れた。土方の心拍数が跳ね上がる。耳から少しずつ下へさがり、首筋にも幾度かキスをする。キスマークをつけてやろうと唇をつけると、総悟の腕が土方の背中に回ってきた。
 
「だぁめでさァ、痕つけちゃあ」
 
 土方の背中をとんとん叩きながら、寝ていたはずの総悟が口を開いた。
 
「起こしたか?悪ィ」
「人のこと抱きしめて囁いて挙げ句耳噛んどいてそりゃあねえでしょう」
「なんだ、最初っから起きてたのかよ」
 
 バツが悪そうに土方が視線を逸らすと、総悟は土方の両頬に手を添え唇を重ねた。触れるだけでさっと離れると、土方は物足りなさそうな顔をしていた。総悟はくすくすと笑いながら、もう一度土方の胸に顔を埋めた。
 
「さっき運動して暑くなったから暖房止めたんですけどねィ、大分寒くなりやしたね」
「当たり前だ、真冬だぞ馬鹿」
 
 総悟は土方の背中に腕を回し、自分の体をぎゅうと押しつけた。
 
「もっかい、あったまりやす?」
「……お、お前がしてぇなら」
 
 その返答に総悟は目を細めた。
 
「俺はこうして暖をとりてぇんですけど、土方さんの考えてることとは違いますよねぇ?」
 
 にやにやと土方の顔を見上げる。総悟のしたり顔を見て、土方も笑った。
 
「俺だって、お前があったかくしてりゃ何でもいいよ」
 
 そうして再びまふまふと総悟の頭を触る。期待していた反応とは違うので、総悟は頬を膨らませた。
 
「土方さん、ホントに俺に甘い。ガキ扱いすんなィばーか」
「はいはい」
 
 更に子供扱いするように、土方は総悟の前髪をかき上げ、額にキスをした。総悟は更に不満げに頬を膨らませる。その様子が土方にはかわいくってかわいくって仕方がない。
 
「しょうがねぇだろ。お前のが年下なんだし」
「そろそろ俺の事を対等に見たっていいと思いやすぜ?少なくとも腕っぷしじゃ俺のが上だし」
 
 得意げに鼻を鳴らす総悟の、鼻を土方は抓んだ。
 
「むきゃっ」
「あーまだ冷てぇな」
 
 土方はリモコンで暖房の電源を入れてから、また総悟をきつめに抱きしめた。
 
「体冷やしてんじゃねーよ」
「俺だけの体じゃねぇから、ですかィ?」
「まぁ、実際、お前だけの体じゃねぇけど」
 
 土方の胸に頬を寄せながら、総悟は口を開く。
 
「土方さんがいつまでたっても俺をガキ扱いする」
「実際お前がガキなんだろうが」
「でもそりゃあ土方さんが俺をガキ扱いしてっから俺もいつまでもガキなのかもしれねぇですぜ?」
 
 総悟は、土方の顔を見上げた。大きな茶の目が、土方の顔を射貫く。
 
「……甘いんだよなぁ、お前に」
「甘いんでさァ。それじゃ、旦那になっちまいまさァ」
「アイツの名前は出すな」
 
 途端に声色が変わった土方に、総悟はケラケラと笑った。
 抱きしめあったままただだらだら触れ合っていると、いつの間にか外は白んでいた。
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